『21世紀のECOな家づくり』 ~北方型住宅の普及促進を目指して~

   

 『北方型住宅』って何? 

 昭和63年、積雪寒冷な気候である北海道にふさわしい住宅として、高断熱(=熱が逃げない家)・高気密(=すき間が少ない家)・高耐久(=長く暮らし続けることができる家)の性能を持つ「北方型住宅」の制度がスタートしました。以来、道では北方型住宅の普及に努めるとともに、高齢社会の到来や地球温暖化など社会情勢の変化に対応しながら、平成17年に住まいの記録保管の制度化など大幅な基準改正を行ったほか、平成22年には省エネルギー性を高めた「北方型住宅ECO」の基準を新たに設けました。
また、猿払村においても、「北方型住宅」の推進のため、持家住宅建設費に対する助成制度を一部見直し、平成23年度より「北方型住宅」仕様での建設が条件となりました。
以下のとおり、「北方型住宅」のメリットや特徴などを情報提供していきますので、特に住宅の新築をお考えの方は、その参考にしていただければと思います。
 
監修:北海道建設部住宅局建築指導課
■北方型住宅の詳細はこちら ⇒ http://www.kita-sumai.com/

 

① 「住まいづくりのポイント」

北国の住まいをつくる技術力

北国の住まいづくりには、断熱・気密などの技術力が欠かせませんが、道では関係団体と毎年、建築技術者向けの講習会などを開催し、道内各地域の技術者への建築技術の普及を進めています。
また、「北方型住宅」の建設においては、断熱・気密に関する専門技術者(BIS、BIS-E)による設計・施工が義務づけられており、猿払村においても多くの建設業者でその資格を取得しています。

住宅の性能を明示

 住宅は工場で生産される工業製品とは違い、家ごとに求められる仕様や性能に違いがありますので、建て主が求めている内容が設計に反映されるように、性能の基準値等をあらかじめ決めておくことが大切です。
 「北方型住宅」では、断熱・気密・耐久性など住宅性能の基準が決まっており、建て主と施工業者がシステムによりその内容を共有できるため、建て主は安心して住まいづくりに取り組むことができます。また、共通した性能基準を用いることにより、同等な住宅の性能について、他社との比較検討も可能となります。 

住宅を長く使うために

 今、住宅は 「つくっては壊す」 時代から、 「いいものをつくって、きちんと手入れをして、長く大切に使う」 時代へと変化してきています。
「北方型住宅」では、建設後30年間の維持保全計画の作成を義務づけるとともに、設計・施工データが10年間(更新も可)、第三者機関に保管されるシステムとなっています。
これにより、長く快適に暮らせる住まいを安心して建てることができます。

② 「住宅の性能について」

住宅に必要な性能とは?

「北方型住宅」においては、北国の住宅として必要な性能の基準を、次の項目ごとに設定しています。
  ①長寿命
永く暮らし続けることができ、次世代に引き継がれる資産となる住まい
  ③環境との共生
省エネルギーで冬の除雪の負担も少なく、北海道らしい四季の暮らしを楽しむ住まい
  ②安心・健康
いつまでも安心して暮らせるよう、高齢化に対応し、健康で快適な室内環境を確保した住まい
  ④地域らしさ
北海道の気候風土を活かし、身近な地域の素材や技術を活かした住まい

「北方型住宅」で設定している各項目の性能基準(必須)は、概ね次のとおりです。

1)長寿命

 ●耐久性:主要な構造材(柱や梁など)や床を構成する木材には、乾燥材等を使用する
外壁内の通気措置、小屋裏の換気措置を施す
●維持管理の容易さ:住宅の維持管理計画や設計図などの記録を作成し、保管する
給排水管などの維持管理対策を施す

2)安心・健康

●高齢社会への対応
◇階段 ⇒ 高齢者や子どもも安全に利用できる勾配(緩やかさ)と寸法(広さ)の確保に配慮
◇手すり ⇒ 階段・トイレ・浴室には必須、玄関・脱衣室には後付けできるよう下地を準備
◇廊下や出入口 ⇒ 自走式車いすでも安全に通行できる幅の確保に配慮
◇寝室・トイレ・浴室 ⇒ 自走式車いすの使用空間や介助空間の確保に配慮
●健康で快適な室内空間 : セントラルヒーティングの採用(全屋暖房)

3)環境との共生

●省エネルギー基準 : 国が定める次世代省エネルギー基準をクリア
◇熱損失係数(Q値)=1.6W/㎡・K以下(北方型住宅ECOは1.3W/㎡・K以下)
※熱損失係数とは、断熱性を数値で表したもので、値が小さいほど断熱性能が高くなります。
◇相当隙間面積(C値)=2.0c㎡/㎡以下(北方型住宅ECOは1.0c㎡/㎡以下)
※相当隙間面積は専用の機械で測定し、値が小さいほど住宅の隙間が少ないことを表します。
●美しいまちなみの形成 : 建物の外壁は道路境界から1m以上後退させる

4)地域らしさ

●地域の気候・風土を活かした住宅の計画・設計

住宅が確実に担保されるよう発注しましょう

住宅は生活を営むための基盤となるものです。地震・風・雨・雪などから家族を守り、今後の家族構成の変化や加齢等による身体機能の低下があっても、その家で永く暮らすことができるよう、また、北国の厳しい環境の中においても快適な室内空間を保ち、次世代に受け継ぐことができるような『性能』を確保したいものです。
「北方型住宅」では、上記の項目を含む性能基準を満たした住宅として、第三者機関に登録・保管することができます。また、住宅の契約には「北方型住宅」の特記仕様書を添付しましょう。
内容については、北方型住宅ホームページよりダウンロードできます。(上記アドレスをクリック!)

③ 「北方型住宅サポートシステムで不安解消!」

北方型住宅サポートシステムの概要

『北方型住宅』として建設するためには、サポートシステムへの利用が必須となっています。
このシステムを用いて、北方型住宅基準への適合の確認、設計図書・施工写真の登録、建築主への報告書の作成、登録・保管手続きを行います。インターネットの利用環境があれば、ユーザー登録をするだけで、どなたでも利用できます。(システムの利用料金は無料です)
システムへの入力は、設計業者又は施工業者が行いますが、施工状況等の途中経過については、建築主も随時ウェブ上で確認することが可能です。
このサポートシステムの活用により、建築主と設計・施工業者とが情報を共有しながら、家づくりを進めることができます。

サポートシステムの特長

<どなたでも使えます>
 サポートシステムはユーザー登録すれば、どの設計事務所・ハウスメーカー・工務店でも利用できます。
<設計内容を自動で判定します>
 画面に沿って、設計内容を入力することにより、システムが即座に自動判定を行います。
設計の段階で「北方型住宅の基準に適合しているか」をご自身で確認することができます。
<設計・施工の段階ごとに報告書を作成できます>
 設計・施工業者は工事の進捗状況に応じて、サポートシステムの入力内容を利用して、建築主に対しての報告書を作成することができます。
もちろん、建築主ご自身が現場へ行くのが一番ですが、サポートシステムを利用して、ウェブ上で確認することも可能です。

第三者機関による登録・保管

サポートシステムを利用して、基準を満たすよう建設された住宅は、第三者機関((財)北海道建築指導センター)にそのデータを登録・保管することで初めて、『北方型住宅』となります。
登録・保管に係る料金は現在17,280円です。この登録・保管をすることで、サポートシステムへ入力されたデータをCDに記録し、建築主と施工業者にお渡しします。
また、第三者機関で10年間同じ記録が収められたCDを保管しますので、万一の紛失にも対応可能です。

データの活用

将来、家のリフォーム等で設計図面や使用材料などの施工時データを活用することができます。
また、売却することになっても、当該住宅の設計・施工時の記録が残っていますので、買おうとする方が判断するための資料として活用できます。

北方型住宅サポートシステムは安心の住まいづくりをサポートします。

④ 「断熱施工技術者制度(BIS)制度について」

北方型住宅とBIS、BIS-Eとの関わり

「北方型住宅」の『安心の住まいづくり』を支える仕組みとして、前に説明した北方型住宅サポートシステムのほか、BIS認定制度というものがあります。
「北方型住宅」を建設するためには、設計・施工時に認定技術者(BIS、BIS-E)による確認が必要とされており、建設に携わった技術者の登録番号や氏名をサポートシステムに入力することが必須とされています。
「北方型住宅」においては、室内の省エネルギー性能に関する設計・施工について、専門的な知識や施工技能を持つ技術者により、断熱・気密性能が確保されています。

BIS認定制度

住宅の快適な室内環境と省エネルギー性能を手に入れるためには、住宅建築に携わる技術者が、断熱・気密・換気・暖房(温熱環境要件といいます)に関する正しい設計や精度の高い施工方法を習熟し、適切な現場管理を行うことが必要です。
建築主が要望する室内環境を実現するため、前述の温熱環境要件に関しての高度な専門的知識を有し、設計・施工を指導できる技術を持った者を断熱施工技術者(BIS、BIS-E)として認定する制度が「BIS認定制度」です。
この制度の実施は(社)北海道建築技術協会で行っており、制度の円滑な運営のため、学識経験者・行政・建築関係団体等による運営委員会を設置しています。
BIS、BIS-Eとして業務を行う場合は、認定試験に合格後、登録が必要で、3年ごとに更新講習を受けなければなりません。

BISの種類

BISには、BISとBIS-Eの2種類があります。
○BIS:住宅等の断熱・気密・換気・暖房計画に必要な知識及び技能(設計時に必要な資格)
○BIS-E:住宅等の断熱・気密施工に必要な知識及び技能(断熱・気密施工時に必要な資格)
となっており、それぞれ業務が違うことから、認定試験も違います。
また、BIS、BIS-Eの両方の資格を有している技術者のことをBIS-Mといい、1人で両方の業務を実施することができます。



*認定技術者による確認も北方型住宅の安心の1つです!

⑤ 「北方型住宅ECOについて」

環境の時代の家づくり

 今の時代を示す言葉として「環境に配慮した○○」というのを、頻繁に目にすることと思います。では、環境に配慮した「住宅」とは、どのようなものなのでしょう。
まず思い浮かべるのは、省エネルギー住宅でしょうか? これは、住宅の運用エネルギーを極力小さくするように計画された住宅といえるでしょう。
居住者が生活している間に使用するエネルギー(冷房・暖房・給湯・照明など)を減らすべく、高断熱・高気密な仕様+省エネルギー設備でつくられています。
長寿命な住宅というのも、長期的に見て住宅の建替えが少なくて済むことから、建設に係るエネルギーや廃棄物を減らすことができます。住宅の仕様としては高耐久、維持管理のしやすさに重点が置かれます。
また、「ゼロエミッション住宅」というのも出てきています。ゼロエミッションの定義は様々ですが、例をあげると、建設から解体までのCO排出量をゼロ以下とする、解体材のリサイクル率を95%以上とするなど、各住宅メーカーなどで定義されているようです。
このように、CO排出量をゼロ以下にするためには、超高断熱住宅をつくって暖房エネルギーをゼロとすることができたとしても、給湯・調理・照明に使用するエネルギーはゼロにはなりませんので、太陽光などを利用し、再生可能なエネルギーを作り出して、使ったエネルギーと相殺することで、差し引きゼロ以下という計算をします。

省COな住宅

 地球温暖化防止効果に着目し、エネルギー使用量よりも、CO排出量として計算することが多くなってきています。(同じ暖房エネルギーを使用しても、熱源によりCO排出量が異なるためです)
北海道においては、気象条件が非常に厳しく、冬の暖房にかかるエネルギーがとても多く必要となるため、家庭部門から排出されるCOは本州と比較して、約2倍にもなっています。
省CO化を進めるためには、太陽光発電などの「創エネルギー設備」や「省エネルギー設備機器」を設置することも考えられますが、道内の住宅においては、暖房にかかるエネルギーを減らすため、まずは住宅そのものの断熱性能を上げていくことが大切であると考えられています。

北方型住宅を更に進化させた『北方型住宅ECO』の新設

 「北方型住宅」の断熱・気密性能は前でも触れましたが、この断熱・気密の基準を約2割引き上げた、『北方型住宅ECO』の基準が平成22年より新たに設けられました。数値で示しますと、断熱性能(Q値)を1.3W/㎡・K以下(北方型住宅は1.6W/㎡・K以下)、気密性能(C値)を1.0cm/㎡以下(同2.0cm/㎡以下)としています。
この性能は、120㎡(約36坪)の住宅の暖房による灯油消費量に換算すると、1980年代前半の住宅ではホームタンク4.7基分だったのに比べ、「北方型住宅」で2.2基分、「北方型住宅ECO」で1.5基分という計算になり、家計にも環境にも優しい性能となっています。
高断熱・高気密住宅は、冬期に災害などで万が一停電になり、暖房が停止した場合においても、熱が逃げにくいため、室温の低下が緩やかになることから、もしもの時にも安心です。

お問い合わせ

建設課 建築係
電話:01635-2-3135

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